CuNiFeやCobalt Chrome(FeCrCo)マグネットを使ったフェンダーの新しいピックアップ
フェンダーからCuNiFeやCobalt Chrome(FeCrCo)マグネットを使用したピックアップがラインナップに加わりました。
CuNiFeやCobalt Chromeって??
これがストラトキャスターやテレキャスター用??なんかデザインが違いますよね?
よく見ると、ポールピースが全てネジ(アジャスタブルポールピース)になっています。
フェンダーのピックアップというのはこんな感じでポールピースが棒状で、ネジにはなっていませんが、今回発売されたピックアップのポールピースは皆ネジになっています。
さらに、これらのピックアップに共通するのは、マグネットが従来のアルニコやフェライト(セラミック)ではなく、CuNiFeやCobalt Chrome(Fe-Cr-Co)という磁性体で作られたピックップだということです。
なぜアルニコやフェライト(セラミック)ではなく、CuNiFeやCobalt Chrome(Fe-Cr-Co)磁石を使っているのかといえば、ポールピースがネジ式になっていることと関係があります。
従来のストラトキャスターやテレキャスターで使われるアルニコやフェライト(セラミック)というのは、ネジ式のアジャスタブルポールピースが採用されていませんが、それには理由があって、これらのマグネットは硬くネジなどの加工に向いていないそうなのです。
ギブソンのハムバッキング・ピックアップや一部シングルコイルでも高さ調整出来るものもありますが 、それらはピックアップの構造が違い、フェンダーはポールピースそのものがマグネットですが、ギブソンなど多くのピックアップはポールピースの下にマグネットを配置した構造になっています。
写真は エレクトリックギター・メカニズムより~
そんなフェンダーも1970年代に入ると、ワイドレンジ・ハムバッカーというものを作り、Telecaster CustomやThinline、Deluxeなどに搭載しますが、そのハムバッキング・ピックアップはギブソン方式でなく、従来のフェンダー方式で作られたハムバッキング・ピックアップで、ポールピース自体が磁石になったモデルです。
そのワイドレンジ・ハムバッカーで初めて採用されたのが銅=Cu、ニッケル=Ni、鉄=Feの合金で作られたCuNiFeという素材で、CuNiFeはアルニコと比べ柔らかくネジ加工に向いた素材だったそうです。
今回発売されたピックップもその CuNiFe や Cobalt Chromeが採用されたマグネットで、Cobalt Chrome(FeCrCo:鉄・クロム・コバルト)という素材も調べてみると、性能はアルニコ5とほぼ同等とのことですが、やはりCuNiFe同様 加工しやすい素材とのことなので、テレキャスターのワイドレンジ・ハムバッカー同様の構造で間違いないと思います。
ちなみにポールピースが磁石ではないピックアップの場合、以下のようにマグネットを下に配置した構造になります。
参考:
Fe-Cr-Co Magnet – NeoMag用語集
Cunife – NeoMag用語集
ピックアップのラインナップ
それでは今回発売されたCuNiFeやCobalt Chromeのラインナップを見てみましょう。
CuNiFe Stratocaster Pickup Set
CuNiFe Stratocaster Pickup Setは、マグネットに従来のアルニコやフェライト(セラミック)ではなく、CuNiFe(銅=Cu、ニッケル=Ni、鉄=Fe)という磁性合金を使用したピックアップです。
特徴は、ピアノのような深い低域、存在感のある心地よい中域、甘くきらめく高域のすべてを実現し、Hi-Fiな透明感を実現しながら、ゲインを上げてもアタックと鮮明さを失いません。
また、クロムリングを施した特徴的なカバーは、60サイクルのハムノイズを除去するためのシールドとして機能し、このピックアップはシングルコイルのオプションとして極めて忠実で静かなものとなっています。
直流抵抗値:Neck: 9.6k, Middle: 10.0k, Bridge: 10.5k
マグネット:CuNiFe
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Cobalt Chrome Telecaster Pickup Set
Cobalt Chrome Telecaster Pickup Setは、ピックアップデザイナーの巨匠であるTim Shawによって開発され、完璧なマグネットの組み合わせにより、Telecasterトーンの潜在能力を最大限に引き出します。
Cobalt Chrome Telecasterピックアップは、独自にブレンドしたFeCrCoマグネットを使用し、透明感とドライブ感のあるユニークなサウンドが得られるようにヴォイシングされています。
直流抵抗値:Neck: 10.4k, Bridge: 12.5k
マグネット:Cobalt Chrome
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CuNiFe Cobalt Chrome Jazzmaster Pickup Set
CuNiFe Cobalt Chrome Jazzmaster Pickup Setは、ピックアップデザイナーの巨匠 ティム・ショウによるCobalt Chrome(ブリッジピックアップ)とCuNiFe(ネックピックアップ)を組み合わせた Jazzmasterトーンのポテンシャルを最大限に引き出す完璧なマグネットの組み合わせを採用しています。
直流抵抗値:Neck: 9.4k, Bridge: 11.6k
マグネット:Neck CuNiFe, Bridge Cobalt Chrome
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CuNiFe Wide Range Jazzmaster Pickup Set
CuNiFe Wide Range Jazzmaster Pickup Setは、Telecaster CustomやThinline、Deluxeなどに搭載されたワイドレンジ・ハムバッカーをジャズマスターサイズに落とし込んだピックアップセットです。
豊かな低域とクリアなハイエンドで、ベルのようなハムバッキング・トーンを提供します。
直流抵抗値:Neck: 10.4k、Bridge: 11.5k
マグネット:CuNiFe
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CuNiFeやCobalt Chromeを使ったピックアップはどんな音?
それではCuNiFeやCobalt Chromeで作られたピックアップの音を聴いてみましょう。
CuNiFe Stratocaster Pickup Set | Fender:
Cobalt Chrome Telecaster Pickup Set | Fender:
CuNiFe Cobalt Chrome Jazzmaster Pickup Set | Fender:
CuNiFe Wide Range Jazzmaster Pickup Set | Fender:
動画を見た限りでは、例えばアルニコマグネットのピックアップと比べると、クリーン~クランチあたりの「ギャリッ」とした泥臭い高域成分は少なめで非常に柔らかな音に感じます。
スピーカーでもそうですが、アルニコの音というのはよくベルトーンなどと言われますが、その泥臭い高域成分はやや弱めなのでしょうかね(Cobalt Chromeの性能はアルニコ5とほぼ同等とのことですが)。
アルニコスピーカーってどんな音?~Cornell Romany PlusのスピーカーをアルニコのJensen P12Rに交換
ただ、歪んだ音に関しては、その無駄な高域がない分、バランスが良い気がしますのでロック系には合いそうです。
従来のマグネットで言うと、フェライト(セラミック)に近いのかな??
また、ポールピースがアジャスタブルになっているので、指板のアールや弦の太さなどに応じて高さを調整できる点も良いですね。
まとめ
CuNiFeやCobalt Chromeというあまり馴染みのないマグネットのピックアップは、(動画の感じでは)シングルコイル特有の歯切れの良さはそのままに、耳に痛い高音域を抑えたピックアップだと感じました。
特に歪みとの相性は非常に良さそうです。
見た目にも個性があり、テレキャスターやストラトキャスターにオリジナリティーを加えたい方には良い選択だと思います。
ジャズマスター用はさほど違和感なく交換できますが、特にワイドレンジ・ハムバッカーをジャズマスターサイズに落とし込んだCuNiFe Wide Range Jazzmaster Pickupはハムバッキング・ピックアップなので、シングルコイルのノイズとパワー不足を感じてる方にはおすすめだと思います。
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