アッテネーター~BUGERA PS1レビュー

BUGERA PS1 はお手頃価格のアッテネーターですが、アッテネーターに加え、(アンプのサウンドをマイクで収録した音を再現した)EMULATED MICバランスXLR出力も搭載しているのでラインレコーディングにも対応した使えるアッテネーターです。
アッテネーターとは
マスターボリュームのない昔ながらの1ボリュームの真空管アンプをドライブさせる(パワー管を歪ませる)にはアンプのボリュームを上げる必要がありますが、自宅など十分な音量を出せない環境下ではアッテネーター(減衰器)があると便利です。
▼こちらの動画はフェンダーの定番アンプ「デラックスリバーブ」ですが、チューブアンプのボリュームを上げるとサウンドがどのように変化するのかを見てみましょう。
✅参考動画;Fender Deluxe Reverb Cranked to 10!!:
ボリュームを上げる=音が大きくなるので、練習スタジオやライブハウスでは問題なくても自宅など大きな音を出せない環境ではこのような歪んだ音を出すのは難しいでしょう。
しかし、▼アンプとスピーカーの間にアッテネーター(減衰器)を繋ぐことで、歪んだ音質はそのままに音量だけ下げることが出来るようになりますので、自宅でチューブアンプを使っている方には必須ともいえる機器です。
✅ 参考動画:Why Tube Amp Lovers Need Attenuators(真空管アンプにアッテネーターが必要な理由):
歪んだ音を出すにはオーバードライブやディストーションを使う方法もありますが、アンプはクリーンよリも少し歪ませたクランチ状態で使ったほうが音が柔らかくなるので、歪みはエフェクターで作るという方にもアッテネーターはおすすめです。
BUGERA PS1とは
アッテネーターは、以前 THDのHot Plateと言うものを所有していましたが、当時はマスターボリューム付きのアンプばかりを所有していたためにあまり必要性を感じず売ってしまったのですが、近年はシンプルな1ボリュームのアンプが好きで増えてきたのでまた使ってみようか?と新たに購入してみました。
BUGERA PS1はお手頃価格なアッテネーターで、アッテネーター(減衰器)としての用途以外に、LINEで信号を送る事もできるので自宅レコーディングにも便利です。
アッテネーターの接続方法
アッテネーターの接続方法は簡単です。スピーカーとアンプ間にアッテネーターをスピーカーケーブルを使って繋ぐだけです。
※シールドケーブルではありませんのでお間違えのないように。
※アッテネーターを繋ぐには、アンプ~スピーカー間がジャック式である必要があります。
接続が終わったら、アンプのボリュームとアッテネーターのSOAKコントロールを調整するだけ。
※BUGERA PS1のSOAKコントロールは無段階。
アッテネーターの使い方
①クリーンなサウンドを出したい場合は、アンプのボリュームは控えめでアッテネーターのSOAKコントロールはMAX。
※アッテネーターを繋いだ時点で、SOAKコントロールをMAXにしても音量は半分程度になります。
②パワー管の歪んだ音を出したい場合は、アンプのボリュームを上げ、アッテネーターレベルを下げることで歪んだ音はそのままに音量のみを下げることが出来ます。
My AMPの紹介
自宅でよく使うアンプの紹介です。
✅ Greco GVA Custom(5W):
Greco GVA Customは、自宅でのメインアンプです。6V6パワー管を使用したフェンダー系サウンドの小型アンプで、ヴィンテージのチャンプやプリンストン、デラックスあたりのサウンドを彷彿とさせるアンプです。
コントロールはボリュームとトーン(Treble、Bass)のみのシンプルなアンプなので、歪ませるにはボリュームを上げる必要がありますが、出力5Wとはいえ爆音なので、アッテネーターが役に立ちます。
✅ Cornell Romany Plus(10W):
こちらもフェンダー系のアンプで、出力は10Wですが6L6というフェンダーの中でも大型のアンプに使用されるパワー管を1本使用したアンプです。「EQ」ONで艷やかなブラックフェイス系サウンド、OFFで中域の乗ったツイード系サウンドが得られます。
✅ Zinky Blue Velvet 25(25W):
こちらはパワー管にEL34というVOXやマーシャルで使われる管が搭載されたアンプです。
クリーンとドライブの2チャンネル仕様ですが、各チャンネルにはトーンが1つしかついていないので音を作るには音量を含めた調整が必要になるので自宅などの小音量では意外と調整が難しいアンプです。
また、最近はクリーンチャンネルを使うことが多いので、ボリュームを上げたクランチサウンドもアッテネーターを繋ぐことで堪能できるでしょうか。
BUGERA PS1 レビュー
早速アッテネーターをこれらのアンプに繋いでテストしてみました。3台ともCornell Romany Plusの12インチのアルニコスピーカーに繋いでのテストです。
Greco GVA Custom
Greco GVA Customと、Cornell Romany Plusはフェンダー系のアンプなのでボリュームを上げると滑らかなオーバードライブやディストーションというよりは、荒々しいファズのようなサウンドが出ます。
Cornell Romany Plusよりはややチープな音ですが、ボリュームを全開にして、SGやレスポールのなどのハムバッキング・ピックアップのギターで弾くと、荒々しいフェンダーのツイードアンプ風サウンドや、Suproアンプ+ファズを使ってドライブさせていたレッド・ツェッペリンの1stアルバムのような音が出ます。
ギターをストラトキャスターやテレキャスターなどシングルコイルに持ち替えて弾いてみると、70年代のエリック・クラプトンやローリング・ストーンズのような枯れたサウンドを出すことも出来ます。
スピーカーを12インチにした関係もあるでしょうが、この安いチューブアンプがここまで化けるなんて凄すぎます。
Cornell Romany Plus
Cornell Romany Plusは、Grecoと同じフェンダー系のアンプですが、トーン回路をカットする機能がありまして、トーンをカットすることで 歪みが増し、フェンダー初期の”ツイードベースマン”の回路をコピーしたと言われるマーシャルJTM45ようなサウンドを出すことが出来、更に良いサウンドが得られました。
トーン回路をカットしたモードは、アッテネーターを経由しない小音量の状態では単にブーミーなだけでしたがアッテネーターを通すことで自宅でも極上のトーンが得られます。
Zinky Blue Velvet 25
Zinky Blue Velvet 25は、VOXやマーシャルなど欧州系のアンプによく使われるEL34管が使われているのでどんな音になるのかと試してみると、クリーンチャンネルでは、GrecoやCornellほどの歪みは得られませんでしたが、ややクランチしたサウンドがこれまた心地よいです。
オーバードライブチャンネルは、音圧がすごいです!ゲインを抑えめではAD/DCのようなクランチサウンドから、ゲインを上げることでメタル系のサウンドまでエフェクターなしのアンプだけで得ることが出来ます。
同じ小音量でも、プリ管だけの歪みと、パワー管をプラスした歪みでは全く違うんですね!!BUGERA PS1はいわゆる安価な部類のアッテネーターですが、音質の劣化も特に感じません。
EMULATED MICバランスXLR出力(キャビネットシュミレーター)の実力
BUGERA PS1 にはアッテネーターとしての用途以外にも、ラインアウトを2系統持っていて、1つは素のラインアウトで、別のキャビネットシミュレーターを接続する場合はこちらを、もう1つの出力はEMULATED MICバランスXLR出力で、スピーカーの前にマイクを置いたサウンドを再現したサウンドになります。
※BUGERA PS1 にはロード機能は搭載されておりませんのでラインレコーディングの際もスピーカーキャビネットは接続する必要があります。
参考動画 $100 Attenuator vs $500 Attenuator:
サウンドはRIVERAよりもこもりが少なく良い音に感じますがいかがでしょう。動画後半では、ラインアウトのサウンドも聴くことも出来ますが、やはりRIVERAよりもBUGERAのほうがアンプのサウンドに近い気がします。
しかし実際に使ってみると、オーディオスピーカーから出る音はまぁまぁですが、ヘッドホンや録音した音はやはりライン臭い音なので、別途キャビネットシミュレーターなどを繋いでも良いと思います。
ただ、手持ちのアンプシミュレーターと比べると、不自然な音圧が抑えられている分、BUGERA PS1 のほうが使いやすいと思います。
アッテネーターまとめ
チューブアンプの性能をフルに発揮するにはアンプのボリュームを上げてパワー管を歪ませる必要がありますが、自宅などボリュームを上げられない環境でもアッテネーターを使用すればその音が小音量で堪能できるのでおすすめです。
特にフェンダー系アンプであるファズのような荒々しいサウンドは、70年代のアメリカンなロックを彷彿とさせる音ですし、また、Zinkyのようなマスターボリュームが搭載されたアンプでもパワー管の歪みを加えると小音量でも深みのあるサウンドが得られることが分かりました。
チューブアンプをお使いのユーザーさんならアッテネーターは持っていて損はないと思いますが、特にBUGERA PS1はお手頃価格のアッテネーターにもかかわらず、スピーカーのインピーダンスも4Ω、8Ω、16Ωに対応していますし、繋いだからと言って音が劣化するというのも特に感じませんでしたのでこれはおすすめです。
アッテネーターが1台あれば、ご自分のアンプに使うのはもちろん、スタジオやライブハウスに常設のマーシャルやツインリバーブなんかにも使えるので面白いと思いますよ。
※アンプとスピーカーのインピーダンスは基本同じもの、もしくはスピーカー側が大きなものであれば音量が下がりますが問題ありません(8Ω→8Ω◎、8Ω→16Ω○、8Ω→4Ω☓)。
※アッテネーターを接続するにはアンプとスピーカー間がジャック式である必要がありますので、お手持ちのアンプがジャック式でない場合は楽器屋さんで改造してもらうと良いと思います。
アンプから出る音というのはパワー管の歪み以外にもキャビネットの箱鳴りやスピーカのコーンの振動なども含まれますので厳密には同じ音というわけではありませんが、アッテネーターがあれば自宅でもかなりリアルなサウンドを体験をすることが出来ます。
コンパクトエフェクターの実力
最後に、今回あらためて(マスターボリュームのない)ヴィンテージタイプのチューブアンプのボリュームを上げたときの音を聴いてみましたが、手持ちの歪みエフェクターの中でも特に「BOSS BD-2」や、「MXR Distortion+」はかなりチューブアンプのボリュームを上げたときの音に似ているなと思ったこと。
特にこれらのエフェクターを使ってクランチ設定にしたときの音は、ほぼチューブアンプ!といって良いサウンドを奏でてくれました!!
逆に言えば、アッテネーターがなくても、これらのエフェクターで、チューブアンプのボリュームを上げたときのサウンドは再現できるので自宅では無理してアンプの歪みにこだわらなくても良いと思います。
※トランジスタアンプは音が硬いのでおすすめしません、あくまでもチューブアンプとこれらのエフェクターの組み合わせです。
初心者必見!チューブアンプの選び方:スピーカーは10インチ以上を選びましょう
しかし、チューブアンプをお持ちなら一度はアッテネーターのサウンドも体験していただきたいと思います。やはりチューブアンプのサウンドはパワー管の歪みがあってこそですからね。
BUGERA PS1はこちらで購入できます
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✅その他おすすめのアッテネーター・ロードボックスはこちらで紹介しています:
スピーカーケーブルはこちらで購入できます
※アッテネーターとアンプ~スピーカーの接続は必ずスピーカーケーブルを使いましょう。
定番はBELDEN ( ベルデン ) の#9497。
BELDEN ( ベルデン ) / #9497
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