スピーカーキャビネットの選び方
ギターアンプ用スピーカーキャビネットの選び方、注意点。
スタジオやライブハウスに常設されているスピーカーキャビネットにアンプを繋いだり、スピーカー交換時に知っておきたい基礎を解説。
スピーカーキャビネットとは?
スピーカーキャビネットとは、スピーカーを入れる箱のことで、エンクロージャーともいいます。
キャビネットにはオーディオ用のスピーカー同様、種類があります。
密閉型(クローズドバック)
文字通り、密閉された箱にスピーカーが入ったタイプ。
マーシャル1960など、大型キャビネットの場合、密閉型が多いです。
キャビネット自体大型であれば低域も充分に出力され、スピーカーの特性もしっかり出ます。
スピーカーを向けた方向に音がよく飛ぶ指向性に優れています。
密閉されているので何処に置いても音質は一定です。
後面開放型(オープンバック)
フェンダーのアンプなど、コンボアンプの大半は真空管の放熱の関係もあるのでしょう、大抵はこのオープンバック方式が採用されています。
スピーカー背面の音も出音に反映されるので音は柔らかめで、音の直進性(指向性)も若干低下します。
置く場所によってサウンドが微妙に変化します。
バスレフ型
密閉型のユニットに穴を空け、箱内部の低域も利用してしまおうという方式。
低域を効率よく出力したいベースギター用キャビネットや、容積の少ない小さなオーディオ用スピーカーにも多く採用される方式です。
ストレートか?スラントか??
マーシャル(タイプ)の4×12キャビネットにはAとBという型番が存在します。
代表的なキャビネット1960で見てみましょう。
2台重ねて使うことでお馴染みの、マーシャルキャビネットですが、A/Bそれぞれ違いがあるのです。
1960A
上はA(Angledの略)キャビネット。
上部スピーカーが斜めに付いている為、音に広がりがあり、音が遠くに飛ぶように設計されています。
1960B
下はB(Baseの略)キャビネット。
スラントされていない分、容量が大きく中低域が豊かといわれています。
許容入力
スピーカーには許容入力というものがあります。
許容入力とは、『○○以上入力するとスピーカーが壊れますよ』という目安のことです。W(ワット)で表します。
問題;
定格100Wの真空管アンプに、許容入力100Wのスピーカーは繋げるのでしょうか??
答え;
繋ぐことは可能ですが、ボリュームを上げると壊れる可能性があります。
定格100Wということは、フルチューブの場合の最大出力は倍の200W近くになります。
その為スピーカーの許容入力は200W程度のものを使用するか、ユニットを複数使用し、出力を分散(100Wの1960を2台 >2段→3段積みへ)させる必要があります。
※マーシャルの定番キャビネット1960には許容入力100Wはもちろん300Wなど搭載スピーカーにより色々とあります。
※出力の小さなヴィンテージスピーカーを使用したアンプは特に注意が必要です(許容ギリギリのサウンドが好きという方も多いですが)。
※シールドの抜き差しなどによる不用意なノイズにも注意が必要です。
インピーダンス(Ω)
スピーカーにはインピーダンス(抵抗)というものがあります。
Ω(オーム)という記号で表記されますが、アンプとスピーカーのインピーダンスは規定値に合わせる必要があります。
インピーダンスを合わせないと正常に再生されないばかりか故障の原因にもなりますので注意して下さい。
ヘッドタイプのアンプの場合、切り替えスイッチか、複数の出力端子が用意されている筈です、確認しましょう。
スピーカーキャビネット を2台使用する場合はどうすれば良い?
見た目や音質、許容入力の問題等で スピーカーキャビネット を2台使用する場合は、「キャビネットの入力インピーダンスを、使用するキャビネットの数で割った値で出力する」という公式があります。
16Ωキャビネットを2台使用する場合、16÷2で8Ωになりますので、アンプ側は8Ωで双方のキャビネットにパラレル(並列)で接続します。
8Ωのキャビネットが2台なら4Ωですね。
(EXT)スピーカー出力端子をもったコンボアンプの場合も同様ですので、マニュアルを良く読み接続して下さい。
大型スピーカーキャビネットなど、スピーカーのワイヤリングにより、インピーダンスを変えることも出来ます。
参考:
エミネンスのサイト Eminence Speaker – Wiring Diagrams より引用~
マーシャル1960キャビネットなど、複数の入力(4Ω・16Ω=モノ/8Ω=ステレオ)に対応しているモデルもあります。
スタジオにあるマーシャル製キャビネット(16Ω)に繋ぎたいが大丈夫?
手持ちのアンプ(8Ω)を練習スタジオへ持って行って、マーシャルの12x4(16Ω)キャビネットに繋ぎたいが壊れない??
アンプ側のインピーダンスより大きな数値(8⇒16Ω)であれば問題ありませんが、適正値での使用に比べると、音量が下がります。
逆に(8⇒4Ω)と小さな数値の場合、アンプ側に負荷がかかり故障の原因にもなりますので接続出来ません。
その他のポイント
スピーカーの口径
スピーカーの口径が大きい方が、音が大きく低域も豊かになります。
ギターアンプは8~12インチが主に使用されますが、例えば小型の8インチのスピーカーよりは、12インチのスピーカーの方が音量、低域共に豊かです。
キャビネットの大きさや形状
音質はスピーカーだけでなく、 スピーカーキャビネット の大きさや形状によっても異なります。
マーシャルのキャビネット で言うと、1960AXより1960TV(TALL VINTAGEの略)の方が箱が大きい為に低域が豊かになっています。
スピーカの数
スピーカの本数を増やすことで低域が出るようになります。
2×12(12インチ2発)より、4×12(12インチ4発)の方が、より低域が得られます。
スピーカーケーブルは必ず繋ぐ
チューブアンプの場合は必ずスピーカー専用ケーブルを使いましょう。
ケーブルを繋がずに音を出そうとすると(音は出ませんが)とアンプが壊れてしまいます。
ギター用シールドケーブルに似ていますが、誤って使用するとシールドケーブルが燃えてしまうなんてこともあるようです。
スピーカーケーブルで人気なのはBELDEN(ベルデン)ですね。
BELDEN 9497:
BELDEN 9497は、編み込み効果によるタイトなサウンドが特徴で、スピーカーキャビネットの特性を余すことなく伝えます。
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スピーカーのマグネット
スピーカーに使われているマグネットでも音に違いが出ます。
マグネットにはアルニコ(アルミニウム、ニッケル、コバルトの合金の略)、セラミック(フェライト)、ネオジウムを使用したスピーカーがあります。
アルニコ
セラミックが開発される以前によく使われていたマグネット。
中低域が豊かなヴィンテージ・サウンドが特徴です。許容入力が低いものも多いので注意が必要です。
主なメーカー:
JENSEN Pシリーズ
CELESTION Blue、GOLDシリーズなど
セラミック(フェライト)
1960年代に開発されたマグネットで、よりクリアでヌケの良いサウンドが特徴。
主なメーカー:
JENSEN Cシリーズ
CELESTION G12、Vintage 30など
ネオジウム
近年開発されたマグネットで、非常に強力な磁力を持っています。
そのため、マグネットを小さく出来(軽量)、かつハイパワーであり、許容入力も100W以上のものも多数あります。
持ち運ぶことの多いライブ用のアンプのスピーカーにおすすめです。
主なメーカー:
CELESTION G12 Century Vintage、Neo Creambackなど
色々特徴があるので、キャビネットを選ぶ際には搭載スピーカーを調べることも重要です。
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