ギタリスト必見!真空管の種類とおすすめブランドガイド
チューブアンプに欠かせない重要なパーツである真空管(チューブ)は、アンプの音質に大きな影響を与えます。真空管の交換は、寿命が尽きたときだけでなく、アンプの音質を改善するためにも有効な手段です。
特に、インプットジャックに近い「初段」と呼ばれる部分の真空管(プリ管)は、アンプのトーンに大きく影響しますので、交換することで音質の変化を楽しむこともできます。
この記事では、真空管の基本的な役割と、プリアンプ、パワーアンプ、整流管などの種類を詳しく紹介し、また、GROOVE TUBESやRUBY TUBESなどの人気ブランドをはじめ、ELECTRO-HARMONIXやJJ ELECTRONICなど、さまざまな真空管ブランドを紹介しています。
真空管には選別会社がある
真空管の製造は、かつては日本をはじめ米国や英国などでも行なわれていましたが、現在はロシア、スロバキアなどの東欧諸国および中国でのみ行われています。
真空管は製造会社から直接販売されることもありますが、いくつかの選別会社が存在し、GROOVE TUBES/グルーブチューブや RUBY/ルビーなどはその代表的な会社です。
一般的に「中国製は品質が安定せず当たり外れが多い」と言われることもありますが、GROOVE TUBESやRUBYなどの選別会社が粗悪な管の排除を行うことで安定した品質の真空管を供給する役割を果たしています。
実際、品質の良い中国製真空管(チャイナ管)は、ギターアンプに使用してみると柔らかで温かみのあるサウンドで意外と良質な音が得られたりします。
国内では真空管専門店の ヴィンテージサウンドさんも人気です。
真空管の種類
チューブアンプを買ったら避けて通れないのが真空管の交換。寿命で交換するのはもちろんですが、アンプの音を良くしてみたいと言う時は、真空管の交換を考えてみてはいかがでしょう。
特にプリアンプ用の真空管(12AX7)の、初段と呼ばれるインプットジャックに近い管は音質変化が最も分かりやすいので音に不満があればまずはここを交換してみると面白いですよ。
初心者にもやさしい真空管の交換方法:
真空管は主に、ギターの基本的な音質を調整するプリアンプ用、音を増幅するパワーアンプ用、電源部に作用する整流用に分けられます。
プリアンプ用真空管はバイアス調整などは不要なので、個人で気軽に交換することが出来ます。
※交換作業は必ずアンプの電源を切ってから行って下さい。また感電の危険もありますので念のため絶縁の手袋を装着しての作業が安全です。
プリアンプ用真空管
プリ管は、親指くらいのサイズの真空管で、入力された信号を少しだけ増幅しパワー管へ渡す役割を担う真空管です。主にトーン回路に影響を与える管のため交換して音色の違いも楽しめます。
プリアンプ用真空管の種類:
プリアンプ用真空管には歪みの強い順に12AX7(ECC83)、12AT7(ECC81)、12AY7、12AU7(ECC82)などがあり、これらの真空管は互換性がありますが基本同じものに交換します。
*12AX7、12AT7などはアメリカでの名称で、カッコ内のECC83、ECC81などは欧州での名称ですが同じものです
寿命:
約10,000〜20,000時間。プリ管は低電流で動作するため、長寿命で壊れにくいです。
※私の体験では、プリ管は(音質を変えるための交換以外で)、故障等で交換したことはありません。
パワーアンプ用真空管
パワー管は、プリ管から送られてきた信号をさらに大きく増幅し、スピーカーを駆動するための十分なパワーを引き出すための真空管です。大きさは管の種類によりますがプリ管の2倍~4倍くらい。
バイアス調整が絡んでくるので安易に交換する管ではないですが、こちらも個性的なものが揃っています。
パワー管の種類:
パワー管の種類として、主に米国で使われる6V6、6L6と、欧州使われるEL84、EL34があります。
6V6/6L6:
6V6はフェンダーのプリンストンやデラックス等、主に小型のアンプに使われる管で、6L6はフェンダーのツインなど主に出力の大きなアンプに使われる管です。サウンドは艷やかなクリーンサウンドが特徴です。
EL84/EL34:
EL84はVOXのAC30など比較的小さなアンプに使われる管で、EL34はマーシャル1959など50~100Wクラスのアンプによく使用される管です。サウンドは、癖のないクリーンと歪ませても素晴らしいオーバードライブな音のする管として人気です。
それぞれの管に互換性はありませんので同じものを購入しましょう(大型アンプの場合2本または4本ペアで必ず交換する必要があります)。
寿命:
約1,500〜3,000時間。パワー管は高電圧・高電流で動作するため、プリ管に比べ寿命は短く約1~3年程度でブツブツ異音が出たり音が出なくなったりします。
特に難しいパワー管の交換時期についてはこちらの動画が参考になります。
パワー管の交換時期の目安:
- ガラス管の上部が茶色く変色>寿命が近づいている
- パワー管内のヒーターが切れて光っていない。触っても熱くない(寿命)>パワー管は2本または4本で使用することが多く、1本不良があっても音が出てしまう。
- ヒューズが飛ぶ(寿命)>原因の多くはパワー管
パワー管はセットで交換しましょう。
整流管(Rectifier)
整流管(レクティファイア)は、家庭用コンセントのAC電源(交流電源)をDC電源(直流電源)に変換する用途で使用する管です。整流管がこの電流を直流に整えることで、アンプの動作に必要な電力を供給できるようになります。
整流管には、真空管タイプ(例:5AR4、GZ34など)とシリコンダイオードタイプがあり、最近ではシリコンダイオードが主流で、ヴィンテージ系のアンプを除きあまり使われることはありませんが、真空管ならではの柔らかな音色(コンプレッション感)が得られるため、一部の方には人気があります。
※Mesa Boogieの人気アンプ Rectifierは、整流管とシリコンの切り替えができることからこの名前が付けられています。
寿命:
約4,000〜10,000時間。パワー管よりは寿命が長いですが、プリ管よりは短いことが多いです。整流管は電源部で作用するパーツで、特にアンプの起動時に高負荷がかかるため、スイッチのオンオフが頻繁な場合は劣化が早まることがあります。
おすすめ真空管
GROOVE TUBES
GROOVE TUBES(グルーブチューブ)は、アメリカ発の真空管ブランドで、ギタリストやベーシストを中心に高い人気を誇ります。
GROOVE TUBESの真空管は厳密な品質基準で選別されており、品質にムラが少ないことが特徴です。安定したサウンドと信頼性を求めるならGROOVE TUBESが安心です。
GROOVE TUBESの各真空管の型番は「GT-○○」で表記され、末尾のアルファベットで製造国が識別できるようになっています。
- R = ロシア製
- C = 中国製
- S = スロバキア製
➡[中国製] グルーブチューブの真空管 GT-12AX7Cの音は良いの?比較してみた
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GROOVE TUBESはフェンダーアンプに標準搭載されている真空管として有名です(現在GROOVE TUBESはフェンダー傘下です)。
GROOVE TUBESの大きな特徴として、パワー管にパフォーマンスレートと呼ばれる10段階の番号が付けられている点(フェンダーの標準管は青・白・赤の3段階)が挙げられます。
例えばGROOVE TUBESの載ったフェンダーアンプを購入した場合、同じ数字(色)のパフォーマンスレートのパワー管を選ぶことでバイアス調整が不要になります。
例えば、バイアス調整ポットのあるアンプの場合、もう少し歪みが欲しかったり、クリーンな音が欲しいという場合は、そのパワー管に合わせてバイアス調整を一度行えば二度目からはその数字(色)のパワー管を選ぶ事でバイアス調整が不要になりますので、もしものときのために多めにストックしておくことも可能です。
RUBY TUBES
RUBY TUBESは、中国に自社運営の工場を持つ真空管ブランドで、米国にある倉庫で各真空管の信頼性、マイクロフォニック、ノイズ、プレート電流、相互コンダクタンスをテストし出荷していますので品質はとても安定しています。
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RUBY 12AX7AC5は中国製のプリ管ですが、柔らかな音質がギターアンプと非常によく合います。価格もGROOVE TUBESよりも安いです。
➡そのサウンドはヴィンテージUS管に匹敵?RUBY 12AX7AC5レビュー
➡面倒くさいからプリ管をすべてチャイナ管にしたら特にドライブチャンネルがめっちゃ良い音になった話
その他
ELECTRO-HARMONIX
ELECTRO-HARMONIXは、BIG MUFF(ファズ)などで知られるアメリカのエフェクターブランドです。真空管の生産は、1999年にELECTRO-HARMONIXのマイク・マシューズ氏がロシアのサラトフにあるリフレクター工場を買収したことから始まりました。現在では、さまざまな真空管ブランドの製品を製造・供給しており、信頼される真空管供給ブランドの一つとなっています。
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SOVTEK
SOVTEKは、ELECTRO-HARMONIXのマイク・マシューズ氏のニューセンサー社が所有しているブランドです。SOVTEKは、当時のソ連軍が所有していた真空管を「SOVTEK」の名でアメリカへ輸出したのがはじまりです。
現在のSOVTEKは、ロシアのサラトフにあるELECTRO-HARMONIXと同じ工場で生産され、旧ソ連軍の真空管を含む製品が製造されています。
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JJ ELECTRONIC
JJ ELECTRONICは、スロバキアに拠点を置く真空管ブランドです。JJは、チェコスロバキア時代の旧TESLA社の生産設備を引き継いでおり、その優れた技術力とノウハウを活かして、高品質な真空管を生産しています。
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TUNG-SOL
TUNG-SOLは、1907年にアメリカで設立されたメーカーで、6550(KT88)の開発でも知られています。現在、TUNG-SOLブランドはELECTRO-HARMONIXのニューセンサー社の一部となり、ロシアで製造され、このブランド再編により、TUNG-SOLの真空管はオリジナルの復刻モデルをはじめ、現代の音楽シーンやオーディオファンのニーズに応える製品を提供しています。
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ヴィンテージサウンドの真空管
ネットで人気の真空管専門店ヴィンテージサウンド。
仕入れた真空管をエントリー、マスター、ハイエンド、プレミアム/かつゲインを低、中、高と分類しているので用途に応じた真空管を購入することが可能となっています。
人気の 逆バイアス調整はアンプを送る輸送費や手間を考えるとかなりお得です。
品揃えもGROOVE TUBES、RUBYはもちろん、Electro Harmonix、TUNG-SOL、SOVTEK、JJ、Svetlana、TAD、Mullard、Fender、GOLDLIONなど豊富に揃っています。
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