RATと聞くと、多くの方はファズのように荒く潰れたディストーションサウンドを思い浮かべるでしょう。しかしRATは、Filterコントロールを調整することで、ファズ風の荒いディストーションから、チューブスクリーマーのように中域が効いた甘いオーバードライブサウンドまで、多彩な歪みを自在に作れる万能エフェクターです。
本記事では、RAT系ディストーションの魅力や音作りのポイント、そしておすすめのRAT系エフェクターを詳しく紹介します。

RATはファズライクなディストーション
RATとは、アメリカのミシガン州カラマズーに本社を置く音響機器ブランド「PROCO(プロコ)」が販売しているディストーションです。
RATはカテゴリーでいえばディストーションになると思うのですが、ディストーションでありながら荒く潰れたファズにも似たサウンドが出せるエフェクターとしても大変人気があります。

▼こちらはRATの代表的なディストーション・サウンドです。
1988 ProCo Rat 2: Andy’s Vintage Picks | Reverb Tone Report:
RATはディストーションですが、ファズフェイスやBIG MUFFのようなファズの代表的なモデルの個性も持ち合わせているのが特徴です。
ファズはディストーション以上に古いペダルなので、扱いにくい面もあるのですが、RATがあればディストーションサウンドはもちろん、チリチリ、ブリブリといったファズにも似たサウンドも出すことができるのでファズ好きの方にもきっと満足の行くペダルだと思います。
しかしそれはRATのほんの一面でしかありません。
RATの多彩さ:Filterの調整でチューブスクリーマーにもなる
RATの真骨頂は、音作りの多彩さにあります。たとえば、Distortionノブを控えめに設定し、Filterを上げる(トーンを絞る)ことで、Ibanez Tube Screamerに似たミッドの効いたオーバードライブサウンドを再現することも可能になります。
Ibanez Tube Screamer TS808 Reissue vs Vintage 1986 ProCo Rat:
RATはファズに似たサウンドのディストーションというイメージをお持ちの方も多いと思うのですが、RATがすごいのはこの多彩さだと思います。
RATがチューブスクリーマーライクなサウンドも出せることは意外と知られていないのではないでしょうか。
RAT系ペダルで自分好みのサウンドを見つけよう
また、RATは、あの ジェフ・ベック が長年愛用した トーンベンダー(ファズ)から乗り換えたペダルとしても知られています。
ファズのような暴れ馬的な個性を持ちながらも、扱いやすく、コントロールしやすいそのサウンドは、ジェフをはじめ、カート・コバーン(Nirvana)や、サーストン・ムーア(Sonic Youth)、トム・ヨーク(Radiohead)、ジェイムズ・ヘットフィールド(Metallica初期)など、様々なギタリストに愛用されています。
RATの魅力を少しでも感じていただけたなら、次はRAT系ペダルのサウンドを聴いてみてください。本家PROCOのRATはもちろん、ヴィンテージのクローンから、手頃な価格で手に入るエントリーモデルまで、魅力的なRAT系ペダルが見つかるはずです!
おすすめのRAT系ペダルはこちらから。
RATとおすすめRAT系ペダル
PROCO RAT

RATは、80年代にジェフ・ベックが愛用したことにより世界的なモデルとなったディストーションです。トーンベンダー(ファズ)を長年愛用していたジェフ・ベックが乗り換えたほどの素晴らしいサウンドを持っています。
ラインナップ:
- RAT2:
RATの後継モデル。軽いクランチから荒く激しいファズライクな歪みまで出力。 - LIL’ RAT:
サウンドと操作つまみはRAT2と同じながら、幅わずか2インチ(5cm)でRAT2の約半分のサイズになったLIL’ RAT。 - TURBO RAT:
RATと同じ回路でありながらクリッピングダイオードにLEDが使用され、よりアグレッシブな音を出力。 - You Dirty RAT:
クリッピングダイオードがゲルマニウムに変更されたヴィンテージRATに似たサウンド。 - FAT RAT:
低域のブーストと高域のカットを行うFATスイッチと、アンプライクなMOSFETと従来のRATサウンドのゲルマニウムを切替可能にした2つのスイッチを搭載。


Boosting A Proco RAT Pedal With An Ibanez Tube Screamer – How To Tighten Up A RAT’s Low End:
ディストーションというよりはファズに近い音色を持つRAT。ファズ好きにもおすすめ出来るディストーションです。
Animals Pedal Tioga Road Cycling Distortion

Tioga Road Cycling Distortionは、80年代初期のRATサウンドを再現しています。
心地の良いクランチトーンから、ゲインを上げることで得られるファズライクなディストーションサウンドまでに対応します。
歪みの質を切り替える3モードスイッチを搭載。

上:対称クリッピング
中:クリッピングバイパス
下:非対称クリッピング
トゥルーバイパス
Animals Pedal Tioga Road Cycling Distortion:
CATALINBREAD Katzenkonig

Katzenkonig/カッツェンケーニヒは、ヴィンテージUKファズを代表するTone Bender MkIIと、80年代のディストーション・サウンドを代表するRATディストーションを融合させた“ファズのように歌う、タイトなディストーション”です。
Behold the Katzenkönig!:
コメント:
このデモ動画では、ジェフ・ベックの「 哀しみの恋人達(Cause We’ve Ended As Lovers)」の一部を弾いていますが、原曲は トーンベンダーで、ギターのボリュームとピッキングの強弱で歪みをコントロールしながら弾いています。このKatzenkonigでも見事にトーンベンダーのエッジの効いたファズライクなサウンドを再現しています。
※一緒に写っているのはリバーブ”Catalinbread Talisman”です。
ELECTRO-HARMONIX Flatiron Fuzz

Flatiron Fuzz は、クラシックなオペアンプ駆動によるRAT系ディストーションです。70年代後半のスタイルを踏襲した回路と左右対称のハードクリッピングを特徴とし、EHXによる「RAT2」の進化版とも言えます。
左右対称のハードクリッピングと独自のFilterコントロールにより、高音域の調整が自在で、ダークなトーンから荒々しい歪みまで幅広く表現可能です。
Electro Harmonix Flatiron Fuzz vs Proco Rat Distortional Effects Pedal Shootout:
ファズライクな荒々しいファズサウンドが特徴のRAT系ディストーションです。RATより中域がパワフルで、オーバードライブ的なサウンドも持ち合わせていますね。
JHS Pedals PACKRAT

PACKRATは、クラシックなRATのさまざまなバリエーションを1台にまとめたペダルです。
PACKRATに搭載された9つのモード:

- OG:
1979~1983年のオリジナルRAT V1のサウンドを再現したモード。 - WHT:
1984~1986年のホワイトフェイスRATのサウンドを再現。 - TRB:
1989年のTURBO RATを再現したモード。 - BRAT:
1997年のBRATのサウンドを再現したモード。 - DRTY:
2004年のYou Dirty RATのサウンドを再現したモード。 - LA:
1986年にIbanezが10シリーズとしてリリースしたRAT系ペダルを再現したモード。 - GRF:
2005年のLANDGRAFFがモデファイしたRATサウンドを再現したモード。
※LANDGRAFFとは今はなきブティックエフェクターブランド。 - ✨:
2010年のCAROLINE WAVE CANNONのサウンドを再現したモード。 - JHS:
JHSがモデファイしたRATサウンドを再現したモード。
JHS PackRat – Sound Demo (no talking):
RATはクリーンに近いクランチからファズライクなディストーションサウンドまで出せる人気のペダルですが、PACKRATはさらに9つのモードを持つまさに究極ともいえるRAT系ペダルです。

JHS Pedals 3 Series Distortion

3 Series Distortionは、クランチサウンドから乾いたブラウンサウンド、音の潰れたファズのようなサウンドまで対応のディストーションです。
コントロールはVolume、Filter(Tone)、Distortに加え、Gainスイッチを搭載。
JHS 3 Series: DISTORTION:
コメント:
トーンの名称がFilterとなっていることや、Distort全開でファズっぽい潰れたニュアンスもあるのでRAT系ディストーションで間違いないでしょう。
PACKRATまではいらないよ!という方はこの3 Series Distortionで決まり!!
MOOER BLACK SECRET

BLACK SECRETは、Vintage、Turboの2つのモードを持つRAT系ディストーションです。
トゥルーバイパス
Mooer Black Secret Video Test:
Vintage、Turboというスイッチの名称、Filterというトーンノブから言ってRATで間違いないですね。サウンドもそっくりです。
OKKO BLACK BEAST

BLACK BEASTの攻撃的な音圧は、全てのファズペダルを置き去りにするほど圧倒的です。
KAPUTT コントロールを調整すると、粒の揃ったハーモニック・ディストーションから、荒れたファズトーンへと 変化します。
OKKO FX: BLACK BEAST Distortion/Fuzz:
コメント:
ディストーションの名機、RATをさらにパワフルで過激にした音です。
GAINを上げるとディストーション・サウンド、「壊れた、異状」という意味KAPUTTを上げると音がゲバ立ち、まさにファズ!と言う過激なサウンドに変化します👍
TC ELECTRONIC Magus Pro

Magus Proは、FAT、CLASSIC、TURBOの3モードスイッチを持つRAT系ディストーションです。
ヴィンテージRATと同様のLM308オペアンプを採用しています。
トゥルーバイパス
TC Electronic Magus Pro Distortion – Sound Demo:
ファズライクなサウンドから柔らかなチューブスクリーマー風オーバードライブまで出せるディストーションペダル。幅広いサウンドの秘密はFILTERのコントロールです。

WALRUS AUDIO Iron Horse

Iron Horseは、ファズにも似た荒々しい歪みが特徴のハイゲインディストーションです。
※以前のモデルはクリッピングを3段階で切り替え出来るスイッチを搭載していましたが、V3になってシリコンとLEDのクリッピングをブレンディングできるSi/LEDノブに変更されました。

※Iron Horse V2(旧モデル)
Walrus Audio: IRON HORSE V3 High-Gain Distortion:
コメント:
暴れ馬的なサウンドのIRON HORSE。
Si/LEDノブは左側に回すとコンプレッションの強いシリコンクリッピング、右側に回すとコンプレッションの少ないLEDクリッピングになります。
まとめ
RATは、オペアンプ駆動のファズライクなディストーションペダルでありながら、ハイを削っていく 独自設計の「Filterコントロール」により、シャープで抜けの良いサウンドからダークで重厚なトーン、チューブスクリーマーような温かみのあるオーバードライブサウンドまで自在に調整可能なペダルです。
気になるモデルがあれば、ぜひ一度お試し下さい。
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